医師の皆さまは、子どもの頃、何か習い事をされていましたか?

スポーツ、楽器、学習塾など、様々な習い事の経験があるのではないでしょうか。

幼い頃から色々な経験をすることは、子どもの能力を高めたり可能性を広げたりと、その後の人生にも影響を与えることでしょう。

わが子も医師に!と考えている方々も多いかと思いますが、医師になったときに役立ちそうな習い事はどのようなものなのか、どれくらいの費用がかかるのか、ご紹介していきます。よろしければ参考にしてみてください。

習い事の目的は?

習い事といっても、実に様々な習い事がありますので、何がいいのか迷ってしまいますね。どのような目的で習うのか、子どもの興味なども考慮しながら選ぶとよいでしょう。

①体力づくり

医師の仕事は、かなりハードですから、激務に耐えうる体力が必要となります。子どもの頃から、基礎体力を向上させるような習い事をしておくことは、将来に役立つことでしょう。

②学力の向上

言うまでもないことですが、医師になるためには学力が必要です。難関の医学部入試を突破し、医学を学び、大量の医療知識を身につけていかねばなりません。早い時期から学習習慣を身につけ、基礎学力や思考力を伸ばすような習い事をしておくことは、プラスになるでしょう。

③コミュニケーション能力の向上

医師になると、様々な人たちと適切なコミュニケーションをとりながら職務を遂行していかねばなりません。医療スタッフのみならず、患者とのコミュニケーションも重要となります。習い事をする中で、幼い頃から色々な人と交流して、コミュニケーション能力を高めておくことは、医療現場においてもきっと役立つことでしょう。

④好奇心の追求

習い事を選ぶ上でとても大切なことは、子どもの興味・関心を尊重するということです。親がよかれと思って習わせても、子どもが興味を持たなければ、何も身につかないかもしれません。逆に、興味を持ったことなら、好奇心を持って追求でき、思わぬ才能が開花するかもしれません。

将来、医師として診療科を選択するときにも、自分が興味を持ったことを追求するという経験が役に立つかもしれませんね。

習い事にかける平均費用

では、一般的に習い事にかける費用は、どれくらいなのでしょうか。

文部科学省が公表している「令和5年度 子供の学習費調査の結果」より、学校外活動費のデータを見てみましょう。

学校外活動費とは、補助学習費(学習塾や通信教育等)や、その他の習い事等に支出した経費を指します。

保護者が支出した子ども一人あたりの学校外活動費の年間平均額は、以下の通りです。

どの年代でも、私立に通う子どものほうが習い事に多くの費用をかけていることがわかります。特に、小学生においては3倍以上もの差があります。

学年別で見ると、小学校だと6年生、中学校だと3年生が最も多くの費用をかけているという結果も公表されています。受験に向けての学習費が大きなウェイトを占めるようです。

また、世帯の年収によっても習い事にかける費用が違ってきます。

以下は、「世帯の年間収入別の学校外活動費」(公立・私立別)のグラフです。

( 出典:令和5年度子供の学習費調査の結果について

公立・私立ともに、世帯年収が多いほど、習い事にかける費用も多くなることがわかります。年収1,200万円以上の世帯を見ると、前述の平均額を大きく上回っています。

高収入の医師の皆さまも、多くの費用をかけていたり、これから積極的に様々な習い事をさせようと検討していたりするのではないでしょうか。

オススメの習い事&その費用

現代は、習い事のバリエーションが豊富です。親世代に人気だった習い事と、現代の子供たちに人気の習い事には、少し違いがあるかもしれません。時代とともに変化することもあれば、逆に変わらず人気の習い事もありますので、そのあたりも考慮しながら、費用相場もあわせて見ていきましょう。

学習塾

とにもかくにも、学力がないと医学部入試を突破できません。また、医学部に入学してからも、幅広い医療知識等を学んでいかねばなりません。勉強することに苦手意識があると、苦労することになってしまいます。

子どもの頃から学習習慣を身につけておくことや、基礎学力を上げておくことは大切です。学力があって困ることはありませんので、将来必ず役に立つでしょう。

学習塾を選ぶうえでは、基礎学力の向上や、学校の授業の予習復習、受験対策など、目的に合わせて選ぶとよいでしょう。また、学習塾だけでなく通信教育、オンライン塾などもありますので、子どもの年齢や能力、適性等も考慮するとよいでしょう。

学習塾の費用は、学年や目的、コース選択、授業回数等によって大きく違ってきます。

個別指導か否かなどによっても費用に差が出ますので、あくまで目安としてご紹介いたします。

◆補習塾(授業の予習復習)
月額5,000円 ~ 30,000円 / 年額60,000円 ~ 360,000円

◆進学塾(受験対策)
月額15,000円 ~ 80,000円 / 年額180,000円 ~ 960,000円

授業料以外にも、入会金や教材費、夏期講習等の費用なども必要となる場合があります。

ちなみに、医学部受験のための予備校になると、年額300~600万円(個別・少人数指導)が相場といわれています!

水泳

スイミングは、親世代でも現代でも人気がある習い事ではないでしょうか。水中での全身運動で心肺機能が鍛えられたり、筋力がアップしたりして、基礎体力を向上させることができます。

医師の仕事は、体力勝負でもあります。子どもの頃から体を鍛えて体力をつけておくことは、医師になったときにきっと役立つでしょう。

スイミングスクールに通う子どもは多いので、友達が通っているからという理由で一緒に通い始めることもあるかと思います。習い事を楽しむというのはとても良いことですし、友達と競い合いながら速く泳げるようになったりもすることでしょう。

スイミングスクールの費用は、年齢やレベル、通う回数等によって違ってきますが、目安は以下の通りです。

◆月額5,000円 ~ 13,000円 / 年額60,000円 ~ 156,000円

その他、入会金や年会費、指定の水着などが必要となる場合もあります。

ベビースイミングや未就学児のコース、選手育成コースなど、様々なコースがありますので、子どもの成長やレベルに合わせて選ぶことができます。

プログラミング

近年、人気が上昇している習い事がプログラミングです。親世代には、あまり馴染みのない習い事ですね。2020年度から小学校でのプログラミング教育が必須化されたことにより、注目されているようです。

プログラミング学習において、目的を達成するためにはコンピューターにどんな順序でどのような指示を出せばいいのか、ゴールから逆算して考えていく中で、論理的な思考力を身につけることができます。

また、プログラミングの途中でエラーが発生した場合、どこが間違っていたのか考えて修正していく必要があるため、問題解決能力や発想力も養われます。

それらの能力は、医学部を目指して勉強するときや、医師になってからも必要となる能力です。医師として治療を行っていくとき、筋道を立てて適切な順序や治療方法を考え、スタッフなどに対し明確な指示を出していかねばなりません。想定外の状況になったときなどには、解決方法を考えていくことも必要とされます。

プログラミングで身につけた能力は、将来きっと医師の仕事に活かされていくことでしょう。

子ども向けのプログラミング教室の費用は、年齢やカリキュラム、対面授業かオンラインか、などによって違ってきますが、目安は以下の通りです。

◆月額4,000円 ~ 20,000円 / 年額48,000円 ~ 240,000円

その他、入会金や教材費、パソコンレンタル料などが必要となる場合もあります。

子どもが興味を持って楽しく学べる、ゲーム作りやロボットプログラミングなどが人気のようです。

英会話

グローバルな現代社会において、英会話は必須となってきています。2020年度からは小学校においても英語教育が必修化されています。医学部入試でも英語は重要ですから、英語に対する苦手意識をなくしておくことは大切です。

医師になってからも、留学したり国際学会に参加したりすることもあるでしょうし、近年は外国人の患者と接する機会もあることでしょう。そのような場面で、英語をスムーズに話せるといいですよね。

子どもの頃から英語に慣れ親しみ、英語に対するコンプレックスをなくしておくこと、また、英会話を通してコミュニケーション能力を身につけておくことは、医師になってからも必ず役に立ち、活躍の場を広げてくれることでしょう。

英会話レッスンの費用は、グループレッスンかマンツーマンか、ネイティブの講師か日本人講師か、などによって違ってきますが、目安は以下の通りです。オンラインレッスンなどは、比較的リーズナブルに利用できます。

◆月額3,000円 ~ 28,000円 / 年額36,000円 ~ 336,000円

その他、入会金や教材費、教室運営費などが必要となる場合もあります。

幼い子どもには、ディズニーやセサミストリートなどのキャラクターと楽しく学べるようなエンターテイメント性のある教材が人気です。

ピアノ

親世代に人気だったピアノは、現代も変わらず人気がある定番の習い事です。ピアノは、女の子だけでなく、男の子にもオススメです。

ピアノを弾くときは、楽譜を読みながら、耳で音を聴き、左右の指先を同時にバラバラに動かしますが、これらの動作は脳に良い刺激を与え、左右の脳をバランスよく活性化させるといわれています。

東大生の2人に1人がピアノを習っていた、という調査結果もあるくらいです。脳科学者からも、オススメの習い事としてピアノがよく推奨されています。

また、楽器演奏は、一朝一夕には上達するものではありません。コツコツ練習することが必要ですので、根気や忍耐力が養われます。医学部受験に向けて勉強するとき、ピアノの練習で培った根気や忍耐力がきっと発揮されることでしょう。

医師の方々の中には、ピアノやバイオリンなどの楽器を習っていた方が多いので、先輩や後輩医師と音楽の話題や演奏などを一緒に楽しめる機会もあるかもしれませんね。

子ども向けのピアノ教室の費用は、指導内容やレベル、大手の教室か個人の教室か、などによって違ってきますが、目安は以下の通りです。

◆月額5,000円 ~ 25,000円 / 年額60,000円 ~ 300,000円

その他、入会金や教本代、発表会への参加費用などが必要となる場合もあります。また、ピアノの購入費用も必要となるでしょう。

講師が自宅に教えに来てくれる出張レッスンや、オンラインレッスンなどもありますので、利用してみてもいいですね。

空手

少数派かもしれませんが、空手などの武道もオススメです。

空手を習うことで、体だけではなく精神も鍛えられます。また、礼儀礼節を学べたり、集中力が養われたり、姿勢が良くなったりと、メリットがたくさんあります。心身が鍛えられて強くなると、自信も持てるようになるでしょう。

空手で身につけたものは、医師を目指して勉強するときにも役立つでしょうし、医師になってからも様々な局面で自身を支えてくれることでしょう。

男の子だけでなく、女の子にもオススメです。何かと物騒な世の中で、自己護身術と して身につけておいても損はないでしょう。

空手教室の費用は、流派や指導方針、稽古場所などによって違ってきますが、目安は以下の通りです。比較的お手頃な習い事と言えそうです。

◆月額3,000円 ~ 8,000円 / 年額36,000円 ~ 96,000円

その他、入会金や年会費、道着代、保険加入費、昇級昇段審査費などが必要となる場合もあります。

まとめ

習い事について、オススメや費用などをご紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか。

子どもの習い事には親の思いが大きく反映されるものですが、子ども自身が嫌々習っていると何も身につかないかもしれません。子どもの意思も尊重しながら、選択肢を広げてあげるとよいでしょう。

どの習い事も、体験レッスンなどがあるかと思いますので、まずは色々試してみてもいいかもしれませんね。

何を習わせるにも費用はかかりますが、子どもの頃の様々な経験は、その後の人生に影響を与えますし、子どもの視野が広がります。講師や仲間とのコミュニケーションなどを通して人間的な成長にもつながります。子どもの将来への投資だと思えば、無駄にはならないでしょう。

わが子が医師になったとき、習っておいて良かったと思える習い事をさせてあげたいものですね。