医師の皆さまは、座右の銘を持っていますか?

医師という仕事において、また人間関係や子育てなどに迷い悩んだとき、道しるべとなるような言葉があると心強いですね。

先人たちは、様々な言葉を残してくれています。中でも歴史に名を刻んだ偉大な医師たちの言葉は、医師としても人としても心に響くものがあるかもしれません。

そこで今回は、4人の医師の言葉のいくつかをご紹介いたします。あまり難しく考えず、気軽に読んでみてください!


ウィリアム・オスラー


良き医師は病気を治療する。最良の医師は病気を持つ患者を治療する。

近代医学教育の父といわれる、ウィリアム・オスラーの有名な言葉です。

疾患だけに目を向けるのではなく、目の前の患者に向き合い、病を持つその人の全体を含めて診ることの大切さを教えてくれます。

Listen to the patient. He is telling you the diagnosis.」という言葉も残しており、患者の訴えをよく聴くこと、すなわち問診の重要性を説いています。


オスラーは他にも、「今日一日の区切りで生きる」という心がけについても、いくつかの言葉を残しています。昨日や明日のことまで背負わず、今日を生きるということの大切さについては、多くの先人が語っています。

杉田 玄白


己上手と思わば、はや下手になるの兆としるべし。

江戸時代の蘭学医で、「解体新書」「蘭学事始」などで知られる杉田玄白の言葉です。

自分は上手だと自己満足に陥った時点で、すでに下手になる兆しであると知るべきだという言葉ですが、自惚れや過信により成長が止まってしまうことを教えてくれます。

日本の医学の発展に貢献した偉大な人物ですが、自分の未熟さに目を向けており、常に謙虚な姿勢で学び続けること、自己研鑽を続けることの大切さを説いているのでしょう。


杉田玄白は、健康の秘訣についても「養生七不可」として伝えていますが、現代においても通じることばかりです。

飲と食とは度を過ごすべからず」(飲み過ぎ・食べ過ぎに注意!)
動作を勤めて安を好むべからず」(よく体を動かして、だらだらと楽をしない)
昨日の非は恨悔すべからず」(昨日の過ちを恨んだり悔やんだりしない)
明日の是は慮念すべからず」(明日のことを過度に思い煩いすぎない)

…など、食事に気をつけ、運動不足にならないようにし、過ぎたことをくよくよ悔やまず、まだ起きてもいないことを心配しすぎない、といったシンプルなことを改めて心がけるようにしたいものですね。

アルフレッド・アドラー


人の育て方に迷ったときは、自分に質問するといい。
「この体験を通じて、相手は何を学ぶだろうか?」と。そうすれば、必ず答えが見つかるだろう。

「アドラー心理学」で有名な、精神科医アルフレッド・アドラーの言葉です。

職場で部下や後輩を教育する立場になったり、子育てをするときなどに、「相手は何を学ぶだろうか?」という視点で考えることで、人の育て方のヒントが見つかるかもしれません。

例えば、部下や子どもの失敗をただ厳しく叱責するのみだと、相手は何を学ぶでしょう?
⇒「失敗すると怒られるだけ」と思い、何も挑戦しなくなるかもしれません。

だからといって、失敗したりルールを破ったりしても言い訳ばかりで、同じことを繰り返す後輩や子どもをいつも大目にみていると、相手は何を学ぶでしょう?
⇒「ミスしても言い訳さえすれば、問題ない」と思うようになるかもしれません。

人を育てることはとても難しいですが、相手の立場で考えてみて、何を学び、どう成長するだろうと自分に問いかけてみると、おのずと答えが見つかるかもしれませんね。

アドラーは、「問題の原因を指摘しても、勇気を奪うだけ。解決法と可能性に集中すべきだ。」とも言っています。

他にも、人間関係において「課題の分離」の重要性を説いた言葉もいくつか残されています。

陰口を言われても嫌われても、あなたが気にすることはない。相手があなたをどう感じるかは相手の課題なのだから。

相手の感情や行動をコントロールしようとせず、自分も踏み込まれないようにし、相手の課題と自分の課題を切り離して捉えるというのは、あらゆる対人関係において大切な考え方ですので、心に留めておきたいですね。

アルベルト・シュヴァイツァー


人生には心の避難所が2つある。音楽と猫である。

ノーベル平和賞を受賞した医師であり、神学者・音楽家でもあるアルベルト・シュヴァイツァーが語ったとされる言葉です。

心が疲れてしまったとき、苦しいとき、癒やしてくれるのが音楽と猫であるというこの言葉は、シンプルながら大切なメッセージかもしれません。

ミュージックセラピーやアニマルセラピーがあるように、音楽や動物は人の心を癒やしてくれます。頑張る日々の中で疲れてしまったとき、心の拠り所があると人は救われるものです。

もちろん音楽や猫以外でも、心の安らぎを感じられるものなら何でもいいと思います。ストレスを感じたり心が疲弊してしまったときに、自分なりの「避難所」があれば、心を休めてまた前向きに頑張っていけそうですね。


まとめ

偉人といわれる医師たちの言葉をご紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか。

時代は変われど、現代でも変わらず通じる考え方は心に届くのではないでしょうか。

医師以外にも、多くの先人の名言があります。仕事や生き方に迷ったとき、悩んだときは、先人たちの言葉をヒントにしてみるといいかもしれませんね!